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私は普通の子だよ(障害児にしないで!)
 定型発達をする子供(健常児)の範囲であっても、常に人の心理は動いているものです。
 通常は、「正常な心理の範囲」から、はみ出ても大きな痛手にならずにまた、正常な心理へと戻る。そんな繰り返しを人は続けながら生きて行くものです。しかし、「定型発達の範囲」内にいる子でも、その中で個人差があり、物事のそれぞれに得手不得手があり、そのちょっとした、不得意な事が、本人の性格も合わさっり、本人も家族も思いがけないあらぬ方向へと進んでいってしまうことがあります。
メンタルバランスの流れ図 そして、最悪の事態として、その子は未来ある命に自ら終止符を打つことになってしまいかねません。
 また、発達障害があると決めつけられてしまい、その後の人生を棒に振ってしまう事も…。
 このような実態が、少なからず今の時代に存在しています。
 子どもに鬱の傾向がある子は60%以上あると言われており、小学生でも自ら命を絶ってしまう子がいます。
 その過程で、必ず、節々でSOSのサインが出ています。それを、いかにして早くに気付いてあげれるかが、私達大人の役目となって来ています。
 子供のSOSサインに気付くために大事な事は、子供のメンタルバランスの崩れ(鬱)によるSOSサインは、大人のそれとはまったく違う事を前提にしなければならないことです。
 人は成長の過程で、感情の表現方法を学習していきます。例えば、”笑う”という表現方法は、脳が笑いに対する刺激を感知する(正確には刺激を脳が笑いと判断する)とその表現方法として、”笑う”を実行させています。”怒り”関しても同じです。発達に障害があると、これらの事が出来ないため、それを教える必要がある子もいます。
 ここで重要視したい、”気分が落ち込んだ時”の表現方法というものは、成長の過程ではかなり後半に体得できる表現方法であり高度なものとなります。
 私達大人は、気分が落ち込んだ時や滅入った時に、”落ち込む”という表現方法を知っています。しかし、この表現方法を私達大人はいつ出来るようになったのでしょうか。
 おそらくは、思春期というモヤモヤを乗り越えた頃からだと思います。気分がすぐれない時ボ〜ッとしてしまったとき、周りに「どうしたの?なに落ち込んでるの?何かあったの?」と言わる事の積み重ねで、人は無意識に”落ち込む”とはこういう表現なのか…と学習します。
 しかし、思春期以前の子供が「”落ち込む”=精神的に病む」という心理状態にならないと、思い込んでいる大人は沢山います。それは、子供自身が”落ち込む”表現を知らない事からくる、悪循環でもあります。よって、周囲も”落ち込む”状態にある心理状態だと気付きません。そして、本人もストレスがかかり”落ち込む”表現が出来ず、違った表現としてSOSサインを出してしまい、周囲を驚かせてしまいます。
 その、周囲を驚かせる行為が、発達障害のある子供の表現方法と似ているのです。
実際にあった例(個人情報保護法より、実例をミックスして記載しています)
 ある日突然、母親に学校から電話が…
 「お子さんの様子が変なので、特別支援学級への配置替えを考えませんか?」
 という内容のお話!
 確かに、ちょっとうちの子は変わったところがあるけど…でも、障害だなんて…
 学校での様子を聞くと、
  登校してすぐ荷物をロッカーに入れて廊下に出て行き、朝の会になっても、教室に入ってこない
  授業中に突然その場で立ち上がり、大声を出して座る
  授業中に急に席を外し寝そべる
  よく、ズボンに手をいれ性器を触っている
  集中力に欠ける?なまけている?授業中の態度が悪い
 そんな、数々の例を挙げて、お子さんにアスペルガー症候群ないし、高機能自閉症の疑いがあると先生は考えられました。(ここに盲点が一つ、昨今の教育現場における発達障害児の早期発見、早期対応が言われています。特に、ここ愛知県春日井市においては、障害児の早期発見早期療育に力を入れている背景があり、特異な行動を取る子、先生の言うことが聞けない子は、発達障害を疑う風潮が強くなってしまっています。これは、本当にアスペルガーの子であったら、早期発見は良い事になるのですが、これがそうではなく定型発達をする健常児であったらと考えてみてください。とんだ人権侵害であり名誉棄損です…その子の心を傷つけるだけではなく、その子の未来を無くしてしまいかねない判断なのです)
 しかし、学年主任のベテランの先生は、アスペルガーではないと思う。との見解も学校の中では存在しており、それでも、一つの授業でだけで関わる学年主任の先生には、担任の先生の言葉より説得力があるはずもなく、親御さんへの連絡となりました。(学校の最終結論として、特別支援学級への移籍は任意という扱いなのだが…)
 そして、父母と共に特別支援学級を見学するという事態へとなり、子どもが心の叫びを訴えました
 「ぼくは、普通の子だよ。」
 そんなお母様から、知り合いを伝手に私の元へご相談に来られることになったのです。

 そこで、私はご相談に来られる前に、書いてきてほしい5枚の質問や問題の用紙を渡しました。
  子供の鬱に関するチェックシート(親記入1枚、本人記入1枚)
  アスペルガーの子が不得意とする問題(本人記入1枚)
  自己診断、自閉症スペクトラム指数の子供向けに改良したチェックシート(本人記入2枚)

 を予め渡し、自閉症スペクトラム指数に当たる2枚はやらなくてもいいが、先の2枚は必ず本人にやってもらってください。と、言い渡しています。先に話を聞いていた時点で、私自身はこの子はアスペルガーではないという、変な自信に満ちた確信を得ていました。しかしながら、実際にアスペルガーだった場合、本人の精神的負担を考え、最後の2枚は自己判断に任せようという判断の元にそうしました。
 当日、お母様とのお話、記入用紙を持って来ていただきました。最後の1枚の後半半分は、考えるのが面倒くさくなった回答の仕方が…しかし、本人記入の2枚目の問題は完璧に出来ていました。そして、何より最初の本人記入の1枚と、親御さん記入の1枚に、子どもの鬱の傾向がはきりと現れていました。
 これまでは、私自身の想定していた通り。アスペルガーであっても今の子どもの問題視される行動をみると、鬱も併発している可能性は十分にあったからです。自閉症スペクトラム指数の3/4までやった範囲で見ると、当てはまる事が多かったものの、どの子どももこの時期には当てはまる事でもありました。
 そして、この子どもがアスペルガーではないと確信できたのは、アスペルガーの子が不得意とする問題の全問正解する時の様子を聞いたときです。まったく、詰まる事もなく簡単に解け、また、過去に同様の問題をやった事もない事から、まず、アスペルガーであるという可能性は低くなりました。
 次に、何が原因でこの子は、学校でこういった行動をとるのか…。その原因を探します。鬱の傾向が強くなった、その要因を見つけ出さなければ、この子の症状は改善されず、障害児扱いとされてしまうでしょう。

 幾多の私の質問に、お母様はしっかりと全てありのままお話して下さいました。その結果、2つのメンタルバランスの崩れとなる要因を見つける事が出来ています。この質疑応答よりアスペルガーではないと、さらに確信を持つこともできました。
 メンタルバランスが崩れた要因
  ・子ども自身の成育歴+持って生まれた感受性豊かな優しい性格
  ・平衡感覚が極度に鈍い
 この2つの要因重なってしまった事で、どんどんと不安定な心理状態へとなっていってしまい、その結果として問題視された行動へと繋がっていました。
 最初に挙げた要因は、この子どもが2歳の時に下に兄弟が産まれています。どんな子でも、2歳や3歳という物心ついた、自尊心が芽生える年齢は、親の対応次第で、子どもの性格が大きく左右されるもので、親は下の子ばかりになってしまわず、上の子のフォローも大事な時です。そんな大事な時期に、最初の落とし穴が…子ども自身のもって生まれた感受性豊かな性格が、下の子の世話で大変そうな親に遠慮して、親に気を使う、おりこうな子になってしまっていました。それに、ご両親も甘えてしまっていました(母親談)
 しかし、この要因一つだけで、問題視される行動をとってしまうようになる子は非常に稀です。他にも何か要因があるはずだと思い、2つ目の要因に辿り着きました。
 母親譲りの先天的な平衡感覚の鈍さがありました。この平衡感覚の極度の鈍さが原因で、発達障害と疑われてしまう子も少なくないのです。平衡感覚が極度に鈍いとどうなるのか…多動という症状が出て、この多動が精神の不安定を誘発してしまいます。発達障害児で多動のある子の場合は、精神の不安定から多動になる子が多いのですが、この子の場合は、その逆で、多動が精神の不安定をもらたしているのです。
 なぜ、平衡感覚が極度に鈍いと多動になり、多動になると精神の不安定に繋がるのか…ここまで、かなり長くなりましたし、まだ長い話になりますので、ここでは省略させていただきます。この因果関係、平衡感覚の鍛え方は別の機会に。
 精神の不安定となっている多動の基である”平衡感覚の極度の鈍さ”を改善することで、精神の不安定もなくなります。それと共に、この子どもの場合は先の要因にも配慮しなければなりません。

 これらの、2点を上手に改善していく事で、早ければ半月後に目に見えて効果が表れてきます。問題視される行動もなくなるでしょう。夏休みに改善されれば、2学期は誰もが驚く変貌を遂げているに違いありません。
 子どもは子どもであるが故に、ちょっとした躓きが大きなダメージとなりえますし、ちょっとした改善でみるみる回復していくものでもあります。
 私は、そんな目に見えない子どもの”ちょっとした躓き”を見つけ、ちょっとした支援をさしのべる事で、不幸な未来の芽を摘んでいきたいと思っています。

 同様の問題で悩んでおられるお子様をお持ちでしたら、お気軽にご相談下さい。
 学校の先生が…誰かが、障害児だと言っても違う事はあるのです。もかすると、医師が診断を下していても違うってことも…それだけ、軽度の発達障害を見極めることは難しく、子どもの心理を見抜く事は難しいのです。私の震災支援のレポートにもあります。ソーシャルワーカーのチームが子どものケアは出来ないと言われたように。
 もし、仮にあなたのお子さんに発達障害があったとしても、障害児の発達支援のプロフェッショナルな私達が支援してまいります。恐れることはありません、全ては未来ある子供たちのために、私達は活動しています。